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マンションの大規模修繕をおこなうべき周期は?ガイドラインを踏まえて解説

マンションの資産価値を維持し、住民が快適に暮らしていくためには定期的な修繕が必要です。そのため、マンションの長期修繕計画には、大規模修繕工事の実施が含まれています。

管理組合・オーナーとしては、どのくらいの周期でマンションを修繕すべきか気になるところでしょう。そこで今回は、国土交通省のガイドラインを踏まえながら、マンションの大規模修繕をおこなうべき周期についてお伝えします。

 

一般的に言われている大規模修繕の周期

一般的に、マンション大規模修繕は、10年前後・12年周期・15年周期で計画・実施されることが多いです。これは、国土交通省が作成している「長期修繕計画標準様式」や「長期修繕作成ガイドライン」といった大規模修繕に関する資料のなかで、修繕工事の計画・実施目安を1215年としているからです。

「マンション」というのは、時間の経過とともに傷がついたり、劣化したりします。そのため、住民の快適な暮らしと建物の資産価値を維持するには修繕が必要であり、国土交通省でも、大規模修繕に関する一定の目安やルールを設けているのです。

 

大規模修繕の周期はマンションにより異なる

国土交通省の大規模修繕に関するガイドラインは、あくまでも“目安”であることに注意が必要です。それというのも、マンションは、建物の立地などにより、傷みや劣化の度合いが異なってくるからです。また、近年では、修繕に使用する塗料の性能や施工技術が向上しているため、10年・12年・15年経ったからといって必ずしも建物が著しく損傷・劣化するとは限りません。そのため、実際的には、大規模修繕のプロに建物の状態を調査してもらった上で、修繕工事の要否を検討することをおすすめします。

なお、2008年の建築基準法の改正では、10年以上経過した外壁がタイル仕上げの建物に外壁の「全面打診調査」が必要になりました。これは、マンションのタイルをパルハンマー(打検棒)という専用器具で叩いて不具合の有無をチェックし、マンションの安全性を維持するように義務づけたものです。マンションがタイル仕上げであれば、打診調査の機会に大規模修繕を計画・実施するのもひとつです。

 

大規模修繕でおこなわれる主な工事内容

大規模修繕で対象になる場所は、外壁や階段・手すり・屋上・エントランス・エレベーター・給排水管など、住民全員に関係する共有部分です。また、傷みや劣化の修繕に加え、居住性や資産価値を高める改修工事をおこなう場合もあります。

一般的な大規模修繕では、以下のような工事がおこなわれます。

修繕場所 工事内容・目的
外壁 亀裂やタイルの浮き・剥がれがあるかチェックし、補修をおこなうことで、建物の耐久性・安全性・防水性・美観性を高める。
シーリング 目地やサッシまわりに施されたシーリング材が、紫外線などの影響で劣化していた場合に新しいシーリング材を打ち替え、雨水の建物への侵入を防ぐ。
屋上 経年劣化している防水層の補修や防水シートの張替工事などをおこない、雨水の居室内・共有部への侵入を防ぐ。
鉄部 階段の手すりなど、さびやすい鉄部の再塗装をおこない、美観性と耐久性を改善する。
廊下・バルコニー 床面の補修防水や、劣化が進んだ箇所への防水シート張替・塗膜防水工事などをおこない、コンクリートの保護と階下への雨漏りを防ぐ。

修繕回数が違えば工事内容も変わってくる

マンションの築年数や修繕回数が違えば、大規模修繕の工事内容も少しずつ変わってきます。

新築してから間もない頃におこなう1回目の大規模修繕であれば、マンションの傷みや劣化が激しくないケースが多く、基本的な工事を施せば十分修繕できます。これが、築後20年以上が経過しておこなわれる2回目の大規模修繕となれば、長い年月にわたり建物が雨風や紫外線にさらされることで劣化が進んでいるため、より踏み込んだ修繕工事が必要になります。さらに、3回目以降の大規模修繕となれば、建物の劣化が顕著にあらわれるため、給排水管設備や玄関ドアなども更新する必要性が出てきます。また、この頃になると、時代に合わせたマンション設備のグレードアップを考えても良いでしょう。今で言えば、顔認証式のオートロックシステムを取り入れたり、宅配ボックスを設置したりすると、防犯性や機能性のあるマンションとして住民に喜ばれるでしょうし、購入検討者へのアピールにもつながるかもしれません。

 

建物診断をおこない、適切な修繕規模・内容の見極めを

大規模修繕は、マンションの状態により必要になる時期や工事が異なります。築後10年前後・12年周期・15年周期といった目安はありますが、本当に必要な工事を見極めるとなれば、工事会社などに建物診断を依頼するようにしましょう。“計画ありき”で大規模修繕を進めるよりも、実際に問題となる傷みや劣化があって、それに対する修繕をおこなったほうが有意義な工事がおこなえるはずです。

外装専科では、建物診断を無料でおこなうのはもちろん、大規模修繕に関するさまざまなご相談に応じています。どのように修繕を進めていくべきか、そもそも修繕の必要があるのかなど、大規模修繕のことでお悩みでしたらお気軽にお問い合わせください。