knowledge

大規模修繕の豆知識

マンションの大規模修繕費用が払えない場合の対処法4選!費用が不足する理由も解説

外装専科 ロゴサムネイル画像

マンションの大規模修繕には、一般的に高額な費用がかかるとされています。そのため、修繕が必要であるにもかかわらず、費用が払えずに実施できないのではないかと不安に思われるかもしれません。

本記事では、マンションの大規模修繕の費用が払えない場合の対処法や、費用が不足する理由を解説します。

マンションの修繕積立金とは?

マンションの修繕積立金は居住者全世帯で積み立てる費用であり、マンションの共用部分の修繕や維持管理に充てられます。共用部分とは外壁や屋根、エントランス、エレベーターなど、居住者全員が日常的に使用する場所のことです。

マンションは経年劣化するため、劣化の度合いに応じた大規模修繕が必要です。修繕積立金はこのような大規模修繕に備え、長期的に積み立てられています。修繕費を一括で集めると居住者の負担が大きくなりますが、毎月少しずつ積み立てることで負担を軽減する仕組みです。

修繕積立金は、マンションを所有している限り支払いの義務が継続します。

修繕積立金があまりにも不足すると、必要な修繕工事を行えなくなる可能性があるため、長期修繕計画は定期的に見直すことが大切です。

マンションの大規模修繕費用が払えない場合に起こり得る事態

大規模修繕の費用が払えないことは、マンション全体の住環境と資産価値を著しく損なう要因です。滞納者があまりにも多く、修繕積立金が夫不足すると清掃やメンテナンスが滞り、共用部分の劣化が進行します。その結果、マンション全体の居住性や美観が低下するでしょう。

また、大規模修繕に必要な資金が不足することで建物の寿命を縮め、資産価値を著しく低下させます。マンション全体の資産価値の低下は、将来的な売却価格にも悪影響を及ぼす要因です。

修繕積立金はマンションの快適な住環境と資産価値を維持するために必要であり、滞納はコミュニティ全体の信頼関係にも影響するでしょう。

マンションの大規模修繕の費用が不足する6つの理由

マンションの大規模修繕の費用が不足するのには、さまざまな要因が関係しています。どのような要因があるのかを把握して、それぞれについて対策を行うことが重要です。

積立金額の設定が低い

修繕積立金の不足する要因の一つは、初期設定の金額が低過ぎることです。新築販売時に購入を促すため、修繕費が安く設定されているケースが多々あります。

また長期的な見直しを怠ると、物価上昇や修繕費用の高騰に対応できず、積立金が不足する事態に陥ります。修繕積立金の増額には住民の合意が必要ですが、交渉が難航して十分な金額を確保できないこともあるでしょう。

修繕積立金不足を回避するためには、国土交通省のガイドラインを参考にして適切な積立金額を設定することが重要です(※)。また、定期的な見直しを行い、必要に応じた積立金額の増額も検討しましょう。

※参考:国土交通省.「マンション修繕積立金に関するガイドライン」.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf ,(参照2025-04-01).

設備のメンテナンスにかかる費用負担が大きい

マンションの大規模修繕費用は、設備の充実度や種類によって大きく変動します。特に機械式駐車場やブランド・タワーマンションに多い豪華な共用施設は、メンテナンス費用が高額になる傾向です。

これらの設備は初期費用だけでなく、維持費も考慮する必要があります。将来的な修繕費用を見据えて、長期的な資金計画を立てることが重要です。

また、設備コストを抑えるために、過剰な仕様や高額なメーカーの選択を避けることも効果的です。必要な機能とコストのバランスを考慮して、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。

長期修繕計画が見直されていない

マンションの大規模修繕費用は、計画的な修繕積立金によって賄われます。しかし、長期修繕計画の策定や定期的な見直しが不十分な場合、積立金が不足し、費用を支払えなくなる可能性があります。

国土交通省のガイドラインでは、30年以上の修繕計画を5年ごとに見直すことが推奨されています(※)。しかし、実際には計画自体がない、または計画に基づいて積立金が設定されていないマンションも少なくありません。

修繕積立金が不足した場合は一時金の徴収や借入が必要になり、住民の負担が増加します。計画外の修繕費用や工事費の高騰も考慮して、定期的な見直しと適切な積立金額の設定をすることが重要です。

※:国土交通省.「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」P16.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf ,(参照2025-04-01).

居住者の数が減少している

マンションの大規模修繕費用は、戸数が少ないほど一戸当たりの負担が大きくなる傾向があります。管理会社はマンション全体の修繕費を算出し、戸数に応じて各戸の負担額を決定しているからです。

国土交通省の調査により、マンションの管理費は戸数が多い程、1戸当たりの費用は低くなることが分かっています(※)。同様の傾向は修繕積立金にも見られ、戸数が少ないほど負担が増加します。

管理組合は修繕積立金が不足した場合、長期修繕計画の見直しが必要です。また、不要不急の修繕工事を見送ったり、金融機関からの借り入れも検討しましょう。

※参考:国土交通省.「Ⅱ 令和5年度マンション総合調査結果」P4.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001750161.pdf ,(参照2025-03-30).

修繕積立金の滞納者が多い

マンションの大規模修繕費用は、滞納者の増加により支払いが困難になるケースも考えられます。国土交通省の調査によると、約25%の管理組合が滞納問題を抱えていることが明らかになりました(※)。

滞納の背景には、マンション居住者の高齢化が挙げられます。年金生活を送る高齢者にとって、修繕費の支払いは大きな負担となり、滞納につながりやすいからです。

滞納者が増加した場合、修繕計画の遅延や他の居住者の負担増加など、さまざまな問題が生じます。管理組合は滞納者への積極的な働きかけや支払方法の多様化など、効果的な対策を実施しなければなりません。

※参考:国土交通省.「平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」P18.
https://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf ,(参照2025-03-30).

段階増額積立方式によって修繕積立金が値上がりしている

マンションの大規模修繕費用が想定通りに集まりにくい原因の一つに、修繕積立金の徴収方式があります。

段階増額積立方式を採用している場合、新築時の負担は軽減されますが、築年数が経つにつれて積立金が高くなり、住民の負担も増加します。その結果、滞納が発生する可能性が高まるのです。

一方、均等積立方式は長期間一定額を徴収するため、費用の急激な値上がりを防ぐことにつながります。修繕費の支払いに困らないためには、適切な積立方式の選択が重要です。

マンションの大規模修繕の費用が払えない場合の対処法

大規模修繕の費用が払えない場合でも、工事内容の見直しや修繕時期の見送りによって対処できる場合があります。どうしても今すぐ修繕が必要だと判断した場合には、一時金の徴収や金融機関からの借入も視野に入れましょう。

大規模修繕工事の内容を見直す

マンションの大規模修繕費用が不足した場合、工事内容の見直しや分割実施も有効な手段です。修繕積立金の範囲内で可能な工事を実施し、緊急性の低い工事は保留または延期することで、一時的な負担を軽減できます。

例えば、雨漏りなどの緊急性が高い修繕を優先し、外壁の美観工事などは後回しにする方法があります。また、大規模修繕工事を複数回に分割し、一度の負担を軽減することも可能です。

ただし、工事の延期や分割は将来的な修繕計画の見直しや、住民からの追加徴収が必要になる場合があります。長期修繕計画を見直し、現実的な計画を立てることが重要です。

大規模修繕工事の時期を変更する

マンションの大規模修繕費用が不足した場合、工事時期の見直しも選択肢の一つです。大規模修繕は通常12~15年周期が目安とされますが、必ずしもこのサイクルに従う必要はありません。年数だけで判断せず、実際に居住性や耐久性に問題があるかどうかを慎重に検討し、必要なタイミングで修繕を依頼しましょう。

ただし、実際に深刻な劣化が生じているにもかかわらず修繕を延期してしまうと、建物の劣化をさらに進行させ、将来的な修繕費用が増加する可能性があります。そのため、日頃から建物の状態を把握しておくことが重要です。

居住者から一時金を徴収する

マンションの大規模修繕費用がどうしても不足してしまう場合、一時金として住民から追加徴収する方法が選択可能です。しかし、一時金は住民の経済状況に大きな影響を与えるため、徴収には慎重な検討が求められます。

一時金徴収の際は、住民の合意形成が必須です。管理組合総会での議決が必要となり、反対意見が出ることも予想されます。一時金の金額によっては、すぐに用意できない住民もいるかもしれません。住民から合意を得られないリスクを考慮し、他の選択肢を検討することも必要です。例えば、金融機関からの借り入れや、上述した工事内容の見直し、工事の延期などで対応できる可能性がないかを検討しましょう。

修繕費用の不足分を金融機関から借り入れる

マンションの大規模修繕費用が不足した場合、金融機関からの借り入れも選択肢の一つとなります。

借り入れは住民の負担を軽減できる一方で、返済計画と金利負担を考慮する必要があります。修繕積立金の値上げも視野に入れ、長期的な資金計画を立てましょう。

大規模修繕費用の不足を防ぐための4つの対策

大規模修繕の費用不足を防ぐには費用の目安を把握して、定期的に計画の見直しを実施することが重要です。ここでは、大規模修繕費用の不足を防ぐための4つの対策を解説します。

大規模修繕にかかる費用の目安を把握する

マンションの大規模修繕費用は、築年数や規模、周辺環境によって大きく変動します。修繕費用の目安を把握するには、複数の施工会社から見積もりを取るのが有効です。

修繕費用を支払えない事態を避けるためには、長期修繕計画に基づいた資金計画が必要です。計画的に修繕積立金を積み立て、不足する場合は一時金の徴収やローン利用、工事内容の見直しなども検討しましょう。

適切な積立金額を設定する

マンションの大規模修繕費用は、長期的な視点での資金計画が重要です。修繕積立金の不足は、住民に大きな負担を強いるだけでなく、マンションの資産価値を著しく低下させる可能性があります。

修繕積立金の徴収方法には、均等積立方式と段階増額積立方式があります。均等積立方式は、毎月一定額を積み立てるため、計画的な資金準備が可能です。

一方、段階増額積立方式では、将来的な負担が大きくなるリスクを考慮しなければなりません。そのため、国土交通省のガイドラインでも、均等積立方式が推奨されています(※)。

修繕費用の不足を防ぐには、新築分譲時から適切な積立金額を設定されているかが重要です。また定期的に修繕計画を見直し、積立金の増額も検討しましょう。

※参考:国土交通省.「長期修繕計画作成ガイドラインコメント」P44.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747006.pdf ,(参照2025-03-30).

長期修繕計画を定期的に見直す

マンションの大規模修繕費用が払えない事態を防ぐには、長期修繕計画の定期的な見直しが重要です。

計画は25~30年に及ぶため、自然災害や資材費の高騰などで予想外の支出が発生し、当初の想定とずれる可能性があります。また修繕積立金の増額が適切に決議されず、資金が不足するケースも少なくありません。

国土交通省のガイドラインでは、5年ごとの見直しが推奨されています(※)。現状に応じた計画に修正することで、将来の負担を軽減できます。

※参考:国土交通省.「長期修繕計画作成ガイドラインコメント」P44.
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747006.pdf ,(参照2025-03-30).

削減できる費用があるかを見直す

マンションの大規模修繕費用を抑えるには、日頃からの管理組合による定期的な劣化状況のチェックが有効です。早期発見による適切な処置は、将来的な修繕費用の削減につながります。

大規模修繕工事の見積もりは複数の業者から取得し、費用対効果を比較検討することが重要です。管理会社に一任するのではなく、管理組合が主体的に関わることで無駄なコストを削減できます。

長期修繕計画の見直しも定期的に行い、計画と現状のずれを修正することで、修繕費用の不足を防ぐことができます。

将来的な大規模修繕に備えて長期修繕計画を見直そう

マンションでは大規模修繕に備えて積立を実施していますが、修繕積立金が不足して費用が払えないケースは少なくありません。居住者の減少や滞納の増加など、さまざまな要因から大規模修繕の費用が不足してしまう場合があります。そのため、普段から将来的な大規模修繕に備えて、長期修繕計画の定期的な見直しを実施することが重要です。

外装専科ではマンションの状態に基づいて、不要不急の修繕を省いた適正価格での大規模修繕をご提案しています。費用不足に悩む管理者の方は、一度ご相談ください。

カテゴリ:
費用・資金計画