2021年4月28日

大規模修繕工事をする適切な時期はあるの?

マンションの美観や安全性を確保するためには、定期的に大規模修繕工事を行うことが欠かせません。適切なタイミングで大規模修繕工事を行えば、資産価値の低下を防ぎ、長期的にマンションの快適性を保つことや、継続的に入居者を確保することにつながります。ただ、どのような時期に大規模修繕工事を行うべきか、悩むケースも多いでしょう。そこでこの記事では、マンション大規模修繕工事に適切な時期や周期について解説します。工事に悩んでいる方はぜひチェックしてください。

マンション大規模修繕工事の目安は12年周期

絶対的な決まりはありませんが、マンション大規模修繕工事は、12年周期を目安にするとよいでしょう。もちろん、マンションの安全性や快適性に何も問題がない場合は、時期を遅らせても構いません。逆に、老朽化が進んでいる場合は、早めに工事を行うことも重要です。以下、12年周期を目安とすべき3つの理由を紹介しますので、確認しておきましょう。

1.長期修繕計画作成ガイドラインの中で12年周期が目安とされている

国土交通省が発行している「長期修繕計画作成ガイドライン」の中には、屋上防水の補修や外壁の塗り直しなどを含む大規模修繕工事の周期は、12年程度と記載されています。ガイドラインが発表された2008年以降は、この目安を基準として12年周期で大規模修繕工事を行うマンションが増えてきました。(注1)

マンションにおける修繕工事は、マンション分譲事業者および管理組合が中心となって作成する長期修繕計画に従って実施されます。長期修繕計画には、修繕工事のタイミングや頻度、修繕積立金の金額など、様々な内容を記載します。マンションの大規模修繕工事には多額の費用が掛かるため、修繕積立金が不足しないように計画を立てなければなりません。大規模修繕工事に必要な費用を積み立てるうえでも、12年周期は適切と言えるでしょう。

2.竣工後10年を超えたマンションには打診検査が義務付けられている

2008年の建築基準法施工規定の改正によって、外壁にタイルを使用しているマンションにおいては、竣工・外壁改修等の後、10年を超えた場合、3年以内に外壁の全面的な打診検査を行うことが義務付けられました。ただし、10年を超えていたとしても、外壁改修を含む大規模修繕工事を3年以内に実施するならば打診検査を行う必要はありません。(注2)

打診検査では、専用のテストハンマーで外壁タイルを叩いて、タイルが浮いていないか確認するため、マンションの外周に足場を設置することが必要です。マンションの規模にもよりますが、足場設置費用と検査費用を合わせると、100万円を超えるケースもあるでしょう。そこで、打診検査に多額の費用を払うことを避けるためにも、12年周期で大規模修繕工事を実施するマンションも多いのです。

3.建築材料の保証期間は10年程度のものが多い

多くの建築材料の保証期間が10年程度であることも、12年周期で大規模修繕工事を行う目安のひとつと言えます。マンションを構成する部材には、防水材・床材・塗装材・シーリング・金物など、様々なものがあります。グレードによっても異なりますが、多くの材料の保証期間や修繕周期は10~12年程度でしょう。

保証期間が過ぎてしまうと、ひび割れや雨漏りの原因となってしまいます。当然ながら、無償で補修工事をしてもらうこともできません。そこで、建築材料の保証期間に合わせて、12年周期で大規模修繕工事を行うケースが多いのです。

マンション大規模修繕工事の時期を見極めるための4つの注意点

ここまで解説した通り、マンション大規模修繕工事は12年周期で実施するのが目安と言えます。ただし、12年周期にこだわりすぎる必要はありません。むしろ、様々な状況を考慮して、大規模修繕工事に最適な時期を見極めるための4つの注意点を紹介します。

1. 施工会社などにマンションの現地調査を依頼する

マンション大規模修繕工事の実施時期を見極めるためには、施工会社などに建物の現地調査を依頼し、見積もりを取ることをお勧めします。マンションの外壁や屋上、手すりや設備など、劣化状況のチェックをしてもらい、コンクリートのひび割れやタイルの浮き、外階段や手すりの錆び、屋上防水の下地材の状態などの報告を受けて劣化状況を把握し、修繕工事費の見積もり額と修繕積立金を照らし合わせながら、大規模修繕工事の必要性や無駄のない工事範囲、最適な時期を判断します。

2. 必要に応じて長期修繕計画を見直す

必要に応じて、マンションの長期修繕計画を見直すことも重要です。計画を策定したときは12年ごとの修繕工事を予定していたとしても、マンションの劣化が予想より激しいケースや、工事価格の変化により修繕積立金が不足してしまうケースもあるでしょう。国土交通省は、長期修繕計画の見直しは約5年ごとに行うことを推奨しています。当初の計画にこだわりすぎると、無駄な工事をしてしまう可能性もあるため注意しましょう。

3. マンションの劣化状況は気候や立地によっても異なる

マンションに使用されている建築部材には、基本的に保証期間や耐用年数が設定されています。ただし、実際の劣化状況は、気候や立地などによって大きく異なるため注意が必要です。豪雪地域や海に近いエリアにあるマンションの場合、予想よりも早く部材が劣化してしまうケースもあります。気候や立地によっては、12年という一般的な周期や、長期修繕計画にこだわらず、より早いタイミングで大規模修繕工事を実施すべきケースもあるでしょう。

4. 放置すると工事費用が増える可能性もある

マンションの劣化を放置しておくと、工事費用が増える可能性があることにも注意しなければなりません。屋上防水の劣化や外壁のひび割れを放置しておくと、コンクリートの内側に雨水が入り込んでしまったり、住宅内で雨漏りが発生したりする可能性もあります。もちろん無駄な修繕工事をする必要はありませんが、建物の現地調査などで大きな劣化や不具合が発見された場合は、放置せず、できるだけ早く対応することが工事費用の抑制につながります。

最適な時期に大規模修繕工事を行うことによる3つのメリット

最適な時期に大規模修繕工事を行うことで、マンションの資産価値を守れる、経年劣化のスピードを抑制できる、隠れていた不具合を発見できる、といったメリットを得られます。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

1. マンションの資産価値の低下を防げる

マンションの資産価値の低下を防げることは、大規模修繕工事の大きなメリットです。屋上や外壁が老朽化していたり、傷や汚れがひどかったりすると、市場における価値や人気が下がってしまうため、適切なタイミングで大規模修繕工事を行うことはとても大切です。

大規模修繕工事は、マンションの安全性や快適性の確保にもつながります。建物の劣化を放置しておくと、外壁のタイルが剥がれ落ちて住人や通行人に危険が及んだりする可能性もあります。安全性や快適性が保たれていないと、売却するにしても価値が下がり、また賃貸マンションでは住人が引っ越してしまったり、新しい入居者が見つからなかったりもするため、修繕工事のタイミングには十分注意しましょう。

2. 経年劣化のスピードを抑制できる

最適な時期に大規模修繕工事を行うことは、マンションの経年劣化の抑制にもつながります。マンションに限らずですが、建物は時間が経つにつれて少しずつ劣化していきます。傷や汚れを放置しておくと、劣化スピードが早まる可能性もあるため注意しましょう。

たとえば、外壁の小さなひび割れを放置したことで大きなクラックが発生する、金属部材の錆びを放置したことで部材全体の交換が必要になる、といったケースもあるため、定期的な点検を行い、適切なタイミングで大規模修繕工事を実施することが大切です。

3. 隠れていた不具合を見つけることができる

隠れていた不具合を発見できることも、大規模修繕工事の大きなメリットのひとつです。マンションの劣化は、表面的で目に見えやすい部分のみで進んでいるわけではありません。屋上防水の下地材が劣化している、といった可能性もあるでしょう。

共用廊下や外壁などは住人の目にもつきやすいため、不具合を発見しやすいのですが、普段は人が立ち入らない場所や、壁の内部の劣化は見つけにくいと言えます。大規模修繕工事によって、これらの不具合を早期に発見して改修することで、マンションの資産価値を守れるでしょう。

建物の劣化状況を把握したうえで、最適な時期に大規模修繕工事を実施しよう!

今回は、マンション大規模修繕工事に最適な時期や周期について解説しました。マンションの大規模修繕工事は、12年周期を目安に行うのが基本です。ただし、この数値は絶対的な決まりではありません。建物の劣化状況を把握したうえで、経年劣化が予想以上に進んでいる場合は早めに工事を行うことも大切です。

マンションの劣化状況は、立地や環境によっても大きく異なります。劣化を放置すると工事費用が増える可能性もあるため、十分に注意しましょう。まずは、すべての施工実績を公開し、マンション管理組合・オーナーの立場に立った信頼できる施工会社に相談して、マンションの劣化状況を正しく把握することが重要です。